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不定期連載シリーズ
2015/12/29

「森羅万象すべてが教訓」不定期連載シリーズ 1-1 羽田野隆司

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創業者は江戸城出いりの御用商人。 140年前に渡米を決断する

このほど「スポーツ用品」ジャーナル」の誌面で、私がスポーツ業界に身を置きながら実際に見てきたことや、心に感じてきたことを述べさせて頂くことになりました。

昭和6年12月に生まれた私は、満84歳になります。 2年ほど前、スポーツ業界団体すべての公職から退かせてもらいました。 (注:記事作成当時)

 

ただ、日本スポーツ用品協同組合連合会の重森仁理事長から「楽隠居しながらでも構わないから、当組合の会計監査役をしてもらえないか」と強く請われて、「小売店さんにも長い間の恩義があるし、会計監査なら老骨に鞭打たなくても務まるかもしれないなぁ」ということで、お引き受けすることにしました。

今般、私の言葉を「スポーツ用品ジャーナル」の誌面で拾ってくださることになったのは、アシックスの鬼塚喜八郎氏やモルテンの民秋史也氏など、業界を永きにわたって牽引してこられた方々が鬼籍に入ってしまっていることを背景に、「営々と続きてきたスポーツ業界の長い歴史を証言できる人が、年を追って少なくなっている。今回の連載話は、皆が黄泉の世界に足を踏み入れてしまわないうちに、何かタメになりそうな話を聞き出しておいたほうが良さそうだ・・・」ということなのでしょう(笑)。

どれだけタメになる話ができるか分かりませんが、「羽田野さんが生きてこられた長い間の足跡そのものに、有益な情報が散りばめられているものだから、思うままに言葉を紡いでほしい」ということですので、記憶を辿りながら、ぽつぽつとお話しさせて頂くことにいたします。

私は昭和6年に、D&Mの二代目社長である羽田野庄二と、その妻である美代の長男として生を授かりました。D&Mの創業は1902年ですから、115年の歴史を重ねてきたことになります。 私の知る限りでは、日本で最も古いスポーツ用品企業のひとつですね。

古すぎる話で恐縮ですが、創業者である鈴木宇兵衛は酒問屋を営みながら、江戸城に出入りしていた御用商人の一人でした。

江戸から明治へと時代のステージが大きく切り替わる中で、お城との取引きという大きな仕事を失ってしまった宇兵衛は、店をたたみ夫婦でアメリカに渡る決断をしました。 その当時、日本にアメリカに関する情報がどれだけあったでしょうか。 今から140年も前の事です。

まったく見も知らね異国のアメリカで、果たして暮らしていくことができるのか。 夫婦の胸は大きな不安で埋め尽くされていたと思います。 その言い知れぬ不安を押しのけ、未知の国に渡った創業者夫婦の勇気と決断には驚かされるばかりです。

私だったら、とてもじゃないが、そんな英断はできなかったのではないか、そう思うしかありません。 これはD&Mを創業する以前の話しですから、まさに大昔の大冒険であったわけです。

 

====次回(1-2)へ続く=======

 

 

 

 

 

 

 

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